5章 1日2食健康法 成功の秘訣


おやつが食べたい! そんなときどうする

 おやつが食べたいときはどうすればよいだろう。
 もちろん、おやつは食べないことが一番望ましい。体のためにもそうであるし、経済的な面からもそうである。お菓子というものは体に不必要なものでありながら、それでいて出費のほうは高くつく。そのぶん質のよい米や、有機野菜を買うお金に回したい。
 しかし言うは易く、行うは難い。これが難なく実行できれば苦労はないのであって、これができないから今日まで不健康でいたのである。

 じつに、世の食事療法が抱える大きな欠点は、この「人間の弱さ」を考慮していないところにある。
 こうすれば体によい、これを食べよう、これを食べないようにしようとテストの模範解答を示すがごとく、完璧な健康法(と言えるものは少ないが)を提示し、あとは知らんふりである。なるほど理論はすばらしいのだが、それを実践する肝心な人間の側の問題を置き去りにしている。


 人間というものは弱いもので、食べてはいけないと分かっていても、どうしようもないというときがある。過去に好きなだけ暴食してきた悪習慣は、抵抗しがたい強力な力となって作用するのだ。意志の力では、ほとんどどうにもならないのである。
 なかでもお菓子を食べたいという衝動は、人によっては肉や魚への食欲よりも強いものだ。

 どうしてもお菓子を食べたい。そんなときは次善の策をとって、一時の難を逃れるべきである。すなわち、がまんにがまんを重ねたために食欲を爆発させてしまうよりも、体への害を最小限に抑えるお菓子を食べるようにするのだ。お菓子が好きな人ならばなおさら、1日2食を成功させるためにも、このことはちゃんと考えておく必要がある。


 ただし最初に断っておくが、間食だけはだめだ。それでは元も子もない。
 そもそも間食をしたいというのはウソの食欲であるから気を付けなければならない。人間は血糖値が下がってきたときに空腹感を感じるが、放っておけばグリコーゲンが糖に変えられて消費される。そのグリコーゲンもなくなれば、脂肪が分解されて使われる。こうなると再び血糖値が上がり、空腹感は解消してしまう。空腹感というものは胃の中にものがあるかないかではなく、血糖値によって脳が判断しているのだ。したがって、午後の3時くらいにお腹がすいたからといって、その空腹感をおやつやジュースで補ってはいけないのである。そんなことをしていては、蓄えられた脂肪が分解される機会が24時間やってこない。肥満体質の人に限って、いつも飴をなめていたり、デスクにお菓子を置いていたりするが、これでは血糖値が下がったときにすぐに糖分を補ってしまうので、脂肪が使われることがない。こうした人は死ぬまで太ったままである。

 よって、どうしてもおやつを食べたいときは間食にするのではなく、昼・夜の食事に添えるようにする。それも、食後のデザートにするのではなく、食前に食べるのが望ましい。
 甘いものなら特にそうである。甘いものは食事の量の感覚をマヒさせるので、食後に甘いお菓子を食べるとついつい食べ過ぎになる。食前に食べれば最初に血糖値が上昇するので、食事を減らすのに役立つ。ただし、食事を用意した時点で「今日はこれだけ。おかわりはなし」と決意できるのであれば、食後のデザートにしてもよい。


 つぎに、そのとき食べるおやつの選定が問題である。
 1日2食を始めたばかりのときはある程度好きなものを食べてしまうのも仕方がないが、慣れてきたなら、こういうときに食べるおやつの質も上げていかなければならない。
 おすすめなのが、スライスしたフランスパンをカリカリに焼いて、ハチミツをつけて食べるという方法である。良質のクッキーを食べているような食感が味わえるので、段階的におやつ離れをするのに役立つ。そのときになるべく質のよいフランスパンを選ぶのがポイントだ。香ばしいパンのほうが少量で満足できる。店の中でパンを焼いているパン屋で買えば、だいたい間違いない。

 甘いものでなくてもよいのであれば、塩味のせんべいが体への害が少ない。ただし最近の健康ブームのせいで味付けが薄いから、物足りなくてついつい食べ過ぎてしまう。軽く塩をふって食べるくらいでちょうどよい。味付けが濃いと少しの量で満足できる。摂取する塩分の総量も、かえって減らせる。


75点主義